「んぎゃあああああー!」
釣り上げた魚のように、子供がビチビチぐねぐねと暴れる。さすがのガウリイも持て余し、落とさないようにするのが精一杯。
「かたいのや~!」
「んなこと言ったってどうしようもないだろーが……」
「ほら、代わるわよ」
ガウリイが両脇を持って、「オレよりやわらかいよ」と言い聞かせて差し出すと、子供はすんすんと鼻をすすりながらあたしにしがみつく。
「……ひらべったいのいやああ~!!」
「あのねええええ!!」
「贅沢言うんじゃないぞー」
渾身の頭突きが胸骨に当たって痛いんですけど……この子、いつまで面倒見なくちゃいけないの……。
「ああ~もう、すみません、この子わがままで!」
やっとで母親が戻って来た。
救世主の登場に子供もあたしたちもほっと息をつく。
「ほら、おいで」
近寄るのを待ちきれずに、あたしからぐーっと身を乗り出す子の両腕を母親が取って、だっこ交代。子供は泣きっ面をふくよかな母親の胸元にぐりぐりと擦りつけて、安堵の表情を浮かべた。
「ふふ、よかったわね」
「ぷにぷに。ぷにぷに」
……あたしのことは無視かい。
子供は母親の胸やら二の腕を一生懸命触っている。
「この子、わたしの肉を触るのが好きで……」
うむ。おっぱい星人というやつだろうか。
「安心するんでしょうね」
横に立つガウリイに話しかけると、なにやら神妙な顔をして。
「オレは、べつにおっぱいなくてもいいからな?」
「……どういう意味かなあ?」
この場ではなんなので、あとでお仕置きしようと心に決めた。
■ 終 ■
ガウリイにおっぱいと言わせたかっただけです…